2月10日、イングランド2部リーグ(通称 : チャンピオンシップ)最下位のプリマス・アーガイル相手に衝撃の敗戦を喫し敗退したFAカップ
3月12日、PK戦までもつれ込んだ激戦の末にパリ・サンジェルマンに敗れベスト16で去ることとなったチャンピオンズリーグ
3月17日、チーム全体のプレーに覇気が見えず攻勢を強めるニューカッスル相手に負けるべくして負けたカラバオカップの決勝戦

残した獲得し得るタイトルが首位をひた走るプレミアリーグのリーグタイトルのみとなったリヴァプール。
2位のアーセナルと勝ち点差12をつけている現在、残り9試合で余程大崩れすることが無ければ優勝には手が届く位置にあります。
しかしながら、11月、12月の無敵にも思えたチームを回想すれば今の状況を100%満足して迎えているファンの数は多くないことが想像に難くないでしょう。ここまで重ねた敗北の影にはどのような原因があるのでしょうか?
本稿ではデータに基づいた考察から、チームの課題、そしてそれに対する私自身が考える解決策を提示していきます。

第1の問題として挙げられるのは、エースの不調です。そのエースとは誰か、言い当てることは決して難しくないでしょう。欧州で文字通り、右に出るものはいないエジプト代表の右ウィング、そしてリヴァプールの象徴であるモハメド・サラーです
今シーズン公式戦46試合に出場し、34G(ゴール)22A(アシスト)という、とんでもないペースで得点を創出するサラー。チームの柱として頼もしい反面、その柱がひとたび機能しなくなれば攻撃力が目減りするのでは、と数ヶ月前から不安視されていました。そして、ここ数試合でその懸念通りに弱点として露呈しているのです。
例えばパリ・サンジェルマン戦でサラーはドリブルを仕掛けても、相手左サイドバックのヌーノ・メンデスに止められてしまうことが多く、普段通りのパフォーマンスからは考えられないほど覇気のないプレーをしていました。
毎試合のように1ゴール1アシストを積み上げてきた彼が足踏みしていると考えられる理由は、今年は2月28日から3月30日にかけて行われるイスラーム教の断食月、ラマダンです。ムスリムのサラーは日の出から日没まで飲食を禁じていますので、試合のパフォーマンスが低下している主な原因はここにあると考えられます。
また、少し深く考察すると去就問題がメンタルに影響を与えている可能性も考えられます。現行のリヴァプールとの契約が今シーズンまでとなっているサラーには未だに契約更新の報道がなく、彼が数ヶ月後まだマージーサイドでプレーをしているかは不透明なのです。そうした立ち位置の不安定さが彼のプレーにブレを生み出しているのかもしれません。

この問題の解決にはラマダン終了後にサラーに調子を取り戻してもらう、というのもありますが、より今後のチームの躍進のために必要なのはサラー以外の選手の得点力の向上だと私は考えています。
左ウィングとして今シーズン公式戦48試合に出場し、19G6Aを記録しているコーディガクポは求められる水準以上の結果を出していますが、ルイス・ディアス、ディオゴ・ジョタ、ダルウィン・ヌニェス、フェデリコ・キエーザの4選手は得点面で求められている水準に達しているとは言えません。
これらの選手は前監督であるユルゲン・クロップ監督体制下で獲得した選手であり、現監督のアルネ・スロット監督が彼の指揮力を存分に活かすために揃えた面々ではありません。そのため、現有戦力を活かすために今夏の移籍市場ではスロット監督が望むチーム作り必要なピースとなる選手を獲得することが必要となります。

次に挙げられる問題は固定された主力選手を繰り返し起用してきたことでそれらの選手たちの身体にに疲労が溜まり、動きにキレが無くなっていることです。
特にそれが顕著に現れているのはスロット体制となった今シーズン、一気に台頭しチームに欠かせない存在にまで成長したオランダの新星、ライアン・フラーフェンベルフです。オランダの名門アヤックスで産声をあげた大器はドイツの覇者、バイエルン・ミュンヘンに引き抜かれるもそこでは芽吹かず。リヴァプールに加わった昨シーズンからボールの扱いに才能をチラつかせるも、今シーズンにここまで活躍することは全くの予想外でした。

その才能を言葉で例えるなら、かつての敵うものはいないのではと思わせるほどにまで圧倒的な強さを誇ったFCバルセロナの全盛期に中盤の底から舵を握った名手、セルヒオ・ブスケツのようなターン、視野の広さ、ボールタッチ。

そこにユヴェントスで卓越したテクニック、強靭なフィジカル、夢を見せられているかのような創造性により暴虐的とも言えるような支配力を発揮し、2018年にはワールドカップまで制覇して見せたフランスの怪物ボール・ポグバのインパクトと正確性を併せ持つフィード、パス。この2人の特徴を併せ持っている選手が、ライアン・フラーフェンベルフだと私は思っています。

そんな彼ですが、ここ最近動きが以前と比べ鈍重になったような印象を受けます。その原因として考えられるのが上記した毎試合で起用され続けてきたことで勤続疲労が溜まっている、ということです。一般的に、監督はチームの勝ち点を伸ばすために強い対戦相手との試合に照準を合わせてコンディション調整を行います。そしてそのために自チームに比べ戦力面で劣る対戦相手との対戦時には主力の選手を休ませ、サブの選手をスターティングメンバーとして起用して試合に望むことがあります。そのことを「ターンオーバー」と言います。
スロット監督は今シーズン一貫して、試合開始からターンオーバーをすることが非常に少ないことが特徴です。彼のやり方は試合開始時にはどんな対戦相手だろうと基本的にはフルメンバーで臨み、戦力で劣る相手に点差をつけたら後半から主力を休ませ、サブを投入していくというものです。疲れの溜まっていないシーズン前半はそれで上手く回っていましたが3月9日のサウサンプトン戦では主力を出していた中で先制点を奪われてしまい、結果として後半まで主力中心に試合を進め勝利を収めた形となりました。
このような試合の後にパリ・サンジェルマン戦、ニューカッスル戦のような敗戦があるとターンオーバーをしっかりと行うことが如何に重要なのかということを実感させられます。

ただ、ターンオーバーをスロット監督が嫌がるのには納得できます。前述したように今のチームには彼が欲しいと思った選手がいるのではなく、彼がいる選手を可能な限り彼の型にはめて指揮しているという状態なのです。
この考察が行き着く結果はやはりさっきと同じく、夏に補強が必要というものです。今シーズンのリヴァプールは他チームと比べるとこの順位にいることがおかしいと思えるほど明らかに補強が少ないです。夏/冬移籍市場を合わせて、主力として想定されていない左ウィングのフェデリコ・キエーザただ一人。どう考えても十分とは言えません。
来夏には契約が今シーズンまでとなっている主力モハメド・サラー、フィルジル・ファン・ダイク、トレント・アレクサンダー・アーノルドの契約を更新した上で、点取り屋のストライカー、中盤でプレーするMF、枚数の少ないDFを可能なら2枚ほど補強することが理想的です。

最後に気になるのは直近のセットプレーでのアイデアの乏しさです。2月のウルブズ戦、アストン・ヴィラ戦で見せてきたサインプレーをマンチェスター・シティ戦では成功させました。マクアリスターがニアポストに向かって低いコーナーキックを蹴り、ソボスライがバックヒールでペナルティスポットにボールをフリックしてサラーにパス。完全に孤立したサラーのシュートはエデルソンの横をすり抜け、先制点を沈めています。
しかしながら、それ以降でそういった創造性のあるセットプレーは見られません。それこそ、流れの中で決められる気配が無かったもののコーナーキックもチャンスに恵まれたパリ・サンジェルマン戦でそのような点を取るためのセットプレーが見られなかったことは試合中凄くもったいなく感じていたためこれ以降のシーズンでどんなセットプレーを見せてくれるかは注目ポイントになってきます。

いかがでしたでしょうか?兎にも角にも、今のリヴァプールに必要なのは戦力の補強です。それが無ければ話が始まりません。幸いなことに補強をこれまで控えてきた分とチャンピオンズリーグのグループステージで勝利を重ねてきた分の賞金を今夏の移籍市場では費やすことができます。
どんな出会い、そしてアップデートされる来シーズンのスロットリヴァプールver2.0を楽しみにしながら、最終盤に差し掛かった24/25シーズンの残り9試合も全力で楽しんでいきましょう!(っ ॑꒳ ॑c)
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来週は、この2週間で行われた各国の代表戦でのリヴァプールの選手を一挙に振り返っていく『代表ウィークスペシャル』をお届けしていきます!
それではみなさん、今週もよきサッカーライフを!さわでぃーKOPでした!!🇹🇭🐦🔥